シニアペットと暮らして

fateful encounter~ありのままの君を愛する誓い~

あずきちゃん・19歳
公募

著者/棚からあずきのぼた餅

だんだんと出来ない事が増えていった。

2021師走 2022年19歳も無病息災を祈り神社へお参りした帰り道。

最初はトイレに間に合わない事が多くなっていき、次にソファーに接続するたった二段の犬用階段の上り下りもままならなくなっていった。歳で足腰が弱くなったせい──。そう思って介助するような生活になり始めてからあずきの最近の生活行動を頭で整理し思い返すと、狭い場所に入り込み後退り出来なく困っている。寝ている以外はずっと部屋の中をトボトボ歩き回りジッとしている事が出来ない。右回りにぐるぐると回転するような動き。時々 昼夜逆転の日もあったり。名前を呼んでも反応が薄い。表情が無くなって来ている。

2022 09 夏の残り香

食べているのに痩せても来ている。ふと掛かり付け医に貼られている“犬の痴呆症確認10箇条”を思い出した。早速ネット検索してみる。あずきの最近の行動にほとんど当てはまっていた。思えば平均寿命を超えている。ここ1、2年は物凄いスピードで年老いて行く感覚は‥‥正直感じていた。犬の痴呆症。
頭の片隅にはあったけれど 実際愛犬が──。
とは結び付かなかった。けれど現実に目の前に居るあずきの行動は痴呆症そのもの。

19歳の春先にて満面の笑み

急いで部屋の中をあずきが生活しやすいように見直し改善し始めた。徘徊し狭い場所に潜り込んで行くのでそれを防ぐ為に犬用のパーティションパネルを購入し接続設置した。これは光を通すので閉鎖感が無くストレスにならないように。次にフローリング部分に滑り止めジョイントマットを敷き詰め足腰の負担にならないようにする。あずきの歩く位置で室温計を置き、360度回る扇風機を回し足元が冷え過ぎないように注意をする。寝ているタイミングで買い物など2、30分のお留守番をさせる時は“見守りカメラ“を設置。外出先からも遠隔操作で様子を伺う事が出来るように。食事は身体を作る源。寝たきりにならない様に高齢犬用フードにプラスして味付け無しの火を通したササミや牛肉をミキサーにかけペースト状にし混ぜる。お肉の出汁も少々。これは食欲を落とさないように、と筋肉量を減らさない為の食事にした。そして何より今より痩せさせないようにしたい!又食べる位置を少し高くし、食べる集中力が続かないので後ろからスプーンでご飯を山盛りにし、ひと口に沢山口の中に入れ食べてくれる介助をする。骨を強くする為ビタミンD作りで日光浴を日課とした。何かの本である獣医師が老犬の筋肉運動の話をしていたのを思い出す。『老犬の筋肉運動には少しばなり足元が悪い場所を自由に歩かせる。そうしたことで転ばないようバランスを取る動きは自然と筋肉運動に繋がる運動となる。』と。無理が無いぐらい筋肉運動も実践し始める。

19歳のお誕生日の日の笑顔

痴呆症が進まないような工夫になっているかは定かでは無いが、春夏秋冬の風、匂い車や人の声などの生活音を短時間でも感じさせ脳を刺激してみる。眼球は白く無いので高齢犬に見られる白内障にはなっていない。これは健診で獣医さんでも驚かれる。多分それは幼い頃から膝に抱っこした時スキンシップで目のマッサージをしていた事が血流促進効果?が功を奏したのか根拠は無いけれど、結果的に良い方向に向かったらしい。そんな色々な工夫を考えながら試行錯誤している生活。おしっこやうんちの体制はバランスを取るのが難しくなってきていて後ろに倒れたりする事も時々あり、歩いていても前のめりに頭から転がったり。お座りも上手に座れない。けれど、生まれつき不整脈を持ち『長生きはしないでしょう。』と1歳の健診で言われてから19年7ヶ月。病気も怪我もせずに今も健康でいてくれる事に感謝。出逢いは生後8ヶ月になっていたあずきをブリーダーさんが『お母さん犬には向かない小ささだから要らない』と言う理由で手離すのでどうですか?と言う話が、刈られて毛は無く痩せて貧相な姿を見た瞬間に『私達が家族になってあげなきゃ!』と。まさに《fateful encounter~運命的な出逢い~》だった。それから家族全員で愛情をたっぷり注ぎ、何処へでも一緒に出掛けた。あずきが家族になってから知らなかった世界や気付かなかったこと、さまざまなことを教えてくれた。フェスやチャリティーで沢山の出逢いも友達も出来た。日常生活にも毎日笑顔や幸せも沢山運んでくれた。

18歳の頃 穏やかな性格が現れている一枚

本当にうちに来てくれて『ありがとう』の感謝の気持ちでいっぱいだから。あずきを抱っこしながらこんな話をしたりする。『これから先、どんな姿になっていっても全力でサポートするから大丈夫だよ。ずっと一緒に暮らして行こうね。いつか虹の橋を渡るときは必ずそばに居るから安心していてね。そして私も虹の橋を渡る時が来たら、必ず私を見つけてよね。そしたらまた虹の橋を渡った向こうの世界で一緒に暮らそうね。きっとだよ、約束だからね。』そんな近い将来訪れる“ちょっとだけ離れて暮らす話”をしながら毎日を精一杯生きてくれている幸せを噛み締めて、今日も過ごしている。