シニアペットと暮らして

気付けたこと。

こころ・10歳
公募

著者/岩城陽葉里

うちでは今年11歳になるコーギーを飼っています。名前はこころ。こころと初めて出会ったのは、私が小学3年生のころ。祖父母がたくさんの犬と一緒に幸せに暮らしているのに憧れて、私もいつか犬を飼いたい!お世話するから!とよく母に懇願していました。その時、祖母がコーギーの子犬がいると知り合いのブリーダーさんから聞きつけて、写メールを送ってきました。ころころとした子犬が2匹ケータイの中でこちらを見つめていました。私は絶対欲しい、絶対可愛がると頼み込み無事子犬の1匹が私の家族になることが決まりました。

クッションですやすや(3歳)

それからこころと名付け、食欲旺盛で温厚な子で大きな病気もすることなくあっという間にすくすくと成長していき、若干ぽっちゃりにまでなりました。一方私は中学に入学後勉強に部活にと忙しくなり家に帰るのが遅くなりました。こころの遊ぼ!という誘いを後でね、また今度ねと何かと理由をつけて断るようになりました。もちろんあんなにすると言っていた世話も母に頼りきり。散歩もごはんも遊びも。
月日は流れこころは10歳の大台に乗り、私は専門学校に進学しました。

家でお気に入りの場所(10歳)

そんなある日いつもならごはんを出される前からお皿の前にスタンバイし、入れた瞬間にバクバク食べるほどなのにその日はごはんをおいても呼んでも来ず。私は何かおかしいと思い、こころの様子を見に行きました。そうすると口周りと顔が腫れていました。ですが私は病院に連れていけず、母にLINEで伝えることしか出来ませんでした。緊急時の対応、診察券の場所、分からないことだらけでとても病院に連れていく自信がありませんでした。
母が帰ってきてから病院へ行き、歯周病からくる腫れであるという診断を受けました。
初めはなんだ、歯周病なら軽くて良かった、なんて思っていましたが後から先生から他の病気の要因になりやすい、全身麻酔で抜歯した方がいいと伝えられました。その時大きな病気ではないけれど、漠然と死が近づいていることに気付かされました。
こころの命は無限じゃないんだ。なんで今まで遊んだり、お世話したりしてこなかったんだろうと後悔ばかりが募って情けない気持ちになりました。ですがこころは薬で腫れも引き、いつもと変わらず私の隣に寄り添ってくれました。1番近くにいて辛い時そばにいて、元気をくれたのはいつだってこころでした。

鼻でか写真(7歳)

話すことは出来なくとも家族であり、親友でした。話さなくたってこころがそばにいるだけで、何だか元気になるような気がしました。今私にできることは後悔することなんかではなく、残りの犬生幸せに生きてもらうこと、こころからたくさん受け取った愛を返すことであると思いました。それからというもの私は、散歩もごはんもできる限りお世話をするように心がけています。でも1番大切なのは、お世話することだけでなく遊んだり、スキンシップしたりする中で私はあなたのことが大好きだよと伝えること。言葉は話せないけど、言葉以上の気持ちを伝えてくれるこころの存在は私にとって大きな支えです。だからこそ私は今日も明日もずっと伝え続けます。大好きだよと。