シニアペットと暮らして

コロがくれた沢山の出会い

コロちゃん・20歳
公募

著者/Kororo

「いらっしゃい、今日からここがコロのおうちだよ」
推定12歳の行き場を失った雑種犬コロがやって来たのは、2010年8月20日の暑い日でした。元々外犬だったコロは、塀に囲まれた50坪程の庭でのんびり過ごすのが日課となったのですが、散歩となると一変、坂や階段を軽々と上り草原を走る姿は「本当にシニア犬?」と思うほど。そんなコロも加齢と共に様々な病気を発症しますが、今でも自責の念にかられる出来事があります。

13歳の春、大好きなお散歩でご機嫌な様子のコロ。

17歳の夏、庭のどこを見渡してもコロがいません。門は閉まっており探し回ること数分、角にあった深さ40㎝程の穴に落ちていたのです。慌てて助けだし何事もなかったように思えましたが、歩き方が何か変。病院へ行くと発熱・後ろ足の神経麻痺・腰はヘルニアに近い状態。主治医の「歩けなくなるかもしれません」の言葉に耳を疑い、何度もコロに「ごめんね」と謝り、涙。入院するも回復の兆しが見えず、大学病院で検査すること数時間、結果は膵炎と椎間板脊椎炎。点滴通院と食事療法が始まり、食欲がなかったコロには注射器で無理やり食べさせなければならず、お互い辛い日々が続きました。また、外でしか排泄しなかった為、そのつど抱きかかえ庭へ連れて行きました。
2週間程して少しずつ食欲が出てきた頃、ふらつきながらも立ち上がり、歩き出したのです。「歩けたよ」と嬉しそうに笑うコロを見て涙が溢れました。休んでいた散歩も徐々に行けるようになり、補助がなくても歩けるまでに回復。

18歳の誕生日を迎え、通院していた病院のドッグランで
「歩けたよ」と嬉しそうに笑うコロ。

しかしその喜びも束の間、次第に足腰が弱りアスファルトを歩くと引きずった後ろ足から出血するように。補助ハーネスや車椅子で公園の芝生を歩くことにした18歳の春、リハビリで歩いていたおばあちゃんと出会います。「コロを見てると、ばあちゃんも頑張ろうって思うよ」とよく声を掛けて下さり、いつしか一緒に散歩を楽しむほどに。「シニア犬だって人を励ますことが出来る」と胸が熱くなりました。
公園では多くのわんちゃんが散歩していたので沢山の友達ができ、私は良い情報交換の場、コロには良い刺激になっていたと思います。
冬には犬友さんから頂いたソリで散歩し「赤ちゃんかと思ったら、わんちゃんだったの(笑)」というエピソードも…。

19歳の冬、犬友さんから頂いたソリで気分転換にお散歩。

排泄にも衰えが見え始め、尿もれシートやオムツを使うようになってからは、軟便だったコロのお尻をキレイにするのは一苦労でした。しかし、主治医の紹介により『おしりまわり洗浄液』が大活躍!水圧で汚れを洗い流し清潔が保て、おかげで一切オムツかぶれ知らずでした。
寝る時は体圧分散マットに寝かせ、ビーズクッション等を併用。コロは左下にすると嫌がるので右下のまま。時々歩かせ、マッサージし、抱き上げていたので床ずれの1つも出来ずに済みました。
ムダ吠えのなかったコロが自分で起き上がれなくなった20歳の春頃から、昼夜問わず吠えるようになりました。自由に動けない苛立ちか、認知症の始まりか、元気な時の吠え方とは違います。起こして歩かせると満足しますが、疲れて寝てくれるまで続きます。どれだけ散歩に連れて行ってもです。主治医に相談し夜間のみ薬を使用しましたが、時間や量など試行錯誤の毎日でした。

20歳の9月。
残暑で夜にペットOKガーデンへ。
冷たい芝生の感触が気持ち良さそうでした。この頃はもう、抱っこしても足がだらんと。

最後まで頭を悩ませたのは食事です。嘔吐や下痢が続くようになり、1日2回の食事を6回に。ふやかしたドライフードやウェットフード、手作りご飯など色々試すも偏食は酷くなる一方でした。MAX14㎏あった体重もこの時には8㎏をきり、体重維持の難しさを痛感しました。
ラム肉・牛肉の湯引き、やぎミルクに浸したパン、主治医と相談し味付きでも食べてくれる物は食べさせました。誤嚥防止の為、ペットシッターさんのアイデアでアレンジしたダンボールに座らせ、支えながらの食事です。
コロは、2018年10月27日、20歳3ヵ月で虹の橋を渡りましたが、最期を迎えるまで1日のルーティンは何も変わっていません。ただ時間帯が変わっただけ。かかる時間が長くなっただけのこと。手がかかる分一緒の時間が増え、より愛しい存在になりました。この頃、一番あちこちに出掛けた気がします。いつまでも楽しい老後を送ってほしい、QOLを大切にしてあげたいと思いました。
最後に、常に親身になって下さった主治医、看護師さん、ペットシッターさん。そしてお世話になったドッグカフェのオーナーさん、犬友の皆さん、家族。本当に感謝しています。
コロが居なければこんなに沢山の人達と巡り会う事が出来なかったでしょう。
『コロ、あなたのくれた出会いは今も大切にしているよ。長生きしてくれてありがとう』

お空へ旅立つ前日のお散歩で。
「紅葉がキレイだから一緒に撮ろうね」と2人で撮った最後の写真。