シニアペットと暮らして

「まる」を抱きしめながら

まるちゃん・14歳
公募

著者/小西 志保里

今一緒に生活してる子は「まる」14歳のおばあちゃんです。肝臓と心臓の病気療養中だったのですが、今年の8月に入ってから徐々に食欲がなくなり、現在強制給餌をしてながら半寝たきり状態です。
まるちゃんとの14年間の思い出は沢山ありますがあっという間だったように感じます。
親戚の家の近くの池に子犬が5匹捨てられてると言われ、飼う心算は無く見に行ったのが、「まる」との出会いでした。1番端っこでポケ?っとしてる毛モジャ。他の子と比べたら大人しい女の子でちょっと下顎が出てて、飼うならこの子はだなーと抱き上げました。叔母さんに、飼い主決まらんかったら保健所つれていくけん。と言われそのまま抱いて連れて帰ることに。その日から我が家の4代目のワンコになりました。
子犬の時から頭のいい子でおトイレもすぐ覚えました。ひょうきんな表情をするのと、独特な毛質。お散歩中、近くの学校から帰宅する女子高生に「あのわんちゃんめっちゃ可愛いー触りたいー」と言われて得意げにお尻を振りながら歩く姿。私にとって自慢のワンコになりました。

捨てられ保護された叔母さん家にて生後1ヶ月半。
その日から我が家の家族になりました。

悪さもしました。猫ちゃんを見つけると遊びたくて、家の周り柵を乗り越え脱走。脱走しないよう柵の高さを足しました。
避妊手術をする前に偽妊娠になり自分のキュッキュッなくゾウのおもちゃを赤ちゃんだと思い抱き抱えてお乳をあげ小屋にこもり、私が近づくといつもは出さないヴーーッって声で威嚇された時もありました。

生後10ヶ月程度、おもちゃで遊んでいる時(笑)ひょうきんな顔~

自宅兼事務所の我が家なので、遊んで欲しくて玄関を前足でかいて甘えたり、救急車が通るたび遠吠えしたり…「まる」が作るすべての「音」を会社の従業員も笑って見守ってくれてました。
10歳を過ぎてから病気をすることが増えたました。夏になると体調を崩すとこが多くなり、血液検査をすると肝臓の数値が高い事が発覚。腫瘤の手術を何度もしました。出来る場所が悪く治りが悪い体質で手をやきました。歳を重ねていくうちに心臓、肺の病気も分かり、毎日お薬を飲む生活となりました。
そして今年、半寝たきり状態に…いつかはこの日が来るとはわかっていましたが、昨日まで食べていたのに急に食べなくなり、だんだん弱ってきました。
まるちゃんはどこか一匹狼的なところがあり、鳴いて語ることはあまりありません。寝るからひとりにして。って顔をします。きっとこの子は一人でひっそりと逝ってしまうだろうなと感じる時があります。
我が家では今まで3匹のワンコを最期まで看取ってきました。
どの子も亡くなった時は「後悔」という2文字はありました。介護中は「まだ生きて欲しい」の想いと「ごはん食べて欲しい」「夜は寝て欲しい」「お薬のんでほしい」の苦労。最期は「あの時あーしてたら…」の後悔の思いからずっと心の中で「ごめんね」を繰り返してました。

毎年恒例のお花見★
先輩わんこちびくんと並んでショット。まる3歳。

しかし私も家族も生活リズムがあり、仕事をしなきゃいけないし、自分の時間や治療費の限界など、どこかで区切りをつけなきゃいけない時があります。本人が病院に行くのを嫌がりだしたら「もぉお家でゆっくり過ごそうねー」と話しています。
私は実家暮らしなので家族の協力もあり看取ることも出来てきました。今現在も介護に協力をしてもらってます。
今のまるちゃんには先に「覚悟」を決めて介護をはじめました。最期までまるちゃんには笑顔で苦しまず逝ってもらえたらいいかなって…ほんとは別れは辛い…寝顔見てたら泣いちゃうけど…どうか苦しまず、痛がらずその時が迎えられますようにと、ただその事を望むばかりです。

まるちゃん11歳。
母と甥っ子と玄関でおしゃべり。
甥っ子もまるちゃんが大好き。
まるちゃんは母にギュッってされて困り顔(笑)

まるちゃんは「この泣き虫さん。また泣いてるのね」って顔をして私の顔を真っ直ぐに見ます。
まだ「ありがとう」は言わないよ。
また明日、抱っこしてお散歩行こうね。体重20キロ…重いけど(笑)
「まる」の重み、匂い、骨格、温度…全部全部忘れないように抱きしめてます。
歩く足音が明日も聞こえますように…。

今年8/30。亡くなる2日前。
私に手を握られビックリしてるのかな
手の形、硬さ、温もり…まだ手のひらに残ってます。