シニアペットと暮らして

大切な時間

アニーちゃん・8歳
公募

著者/赤坂 恵利子

トリマーをしている私がパートナーであるトイ・プードルのアニーと出逢ってからもう9年以上の月日が経ちました。
幼い頃から食が細く、お腹も弱く、食べさせる事に関しては苦労しましたが1.4キロと小さいながらも大きな病気はせずに無事に良い子に育ってくれました。
しかし、9才の誕生日を迎えた直後、突然今まで見たこともないオレンジ色の尿をし、元気が無くなりあわてて病院へ走りました。
詳しい検査の結果、胆管炎を患っていることがわかり、血液検査の数値もメーターを振り切る程悪く、緊急入院を告げられました。
アニーと離れた事など無い私は頭の中は真っ白。せめて夜だけは家に連れて帰りたいと頼み、獣医さんから許可を得ることが出来ました。
アニーに不安な表情を見せたくなくて笑顔を作り「迎えに来るからね!」とだけ話しかけ病院を後にしました。

1才頃。
リンゴ何個分かは分かりませんが小柄な子です。

その日のうちに点滴や内服による治療が始まり、夜迎えに行くと担当の獣医さんから「これで良くならなかったら普通は手術なのだけど、この子は小さ過ぎて難しいでしょう…。」と説明がありました。
凄くショックで不安でしたが、毎朝祈るような気持ちでアニーを病院へ連れて行きました。
日中、私はアニーが家に居ない時間をただ泣いて過ごす訳にもいかず、トリマーの仕事をし、終わると病院へと車を走らせる日が約1週間続きました。
治療の甲斐があり、アニーは元気を取り戻し血液検査の数値も安定したので日帰り入院治療は終わり、定期的な通院検査で様子を見ていく事になりました。
血液検査が苦手で、病院が昔から大嫌いだったアニー。
病院から健康診断の案内が届いても「可哀想だから」、という私の勝手な考えできちんと受けさせて居なかった事を今とても後悔しています。
きちんと定期的に健康診断を受けさせていればもっと早く異変に気が付けたかもしれません。それに行きつけの病院がある事で、もしもの入院や通院が必要になった時に普段から顔なじみの獣医さんや看護師さんが居てくれたら、犬も飼い主も精神的にかなり安心して治療に専念できる事も分かりました。

9才。入院治療中。
優しい獣医さんや看護師さん皆さんに支えられました。

胆管の炎症は治ったものの、入院中の検査で胆泥症(胆嚢の中で胆汁が泥のようになり溜まる病気)が見つかり、胆管炎の再発の可能性もあるため、今まで以上にアニーの食事には気を使う様になりました。
ワンちゃんの健康に関する本を手当たり次第読み、通院などのストレスを少しでも緩和したくて、行きつけの獣医さんとは別にホリスティック・ケアの先生の指導も合わせて受けるようになりました。
ホメオパシーやハーブの使い方、更には音楽療法などを学び、日々をいかに気持ちよく過ごしてもらえるか今でも試行錯誤しています。
年齢とともに淋しがり屋になったアニーのために、今は極力長時間の留守番や旅行を控えています。正直少ししんどいと感じてしまう日もありますが、この子のおかげで今まで興味の無かった分野にまで目を向ける事が出来、この子と過ごす1日、1日、瞬間、瞬間を今まで以上に大切に思える様になった事は私にとってとても重要な学びとなりました。
これから、この子にもいつか訪れる最期の時に後悔しない様に、1日の終わりには「おやすみなさい。」と一緒に「愛してる、大好き?」を伝える様にしています。
かわいいお目目の黒いうちに、家族の笑顔を沢山焼き付けてもらえる事を目標に日々過ごしています。

5才年下の弟分、ゆきちと一緒に。
季節の移ろいを感じながら毎日散歩しています。