シニアペットと暮らして

もっと早くに出会いたかった。つむちゃんと過ごした88日。

つむぎちゃん・推定19歳
公募

著者/つむママ

2020年7月24日の夜、部活帰りの娘が「死にそうな子猫がいるよ、鳴いて餌を欲しがってるみたい」と連絡してきました。

私は餌と念の為キャリーケースを持って急いでその場所へ駆けつけると衰弱した猫ちゃんが。
すぐに餌を食べさせましたが、このまま置いていったら死んでしまうと思い連れて帰りました。

お外でSOSを出していた時、持っていった餌を夢中で食べていました。

翌朝まで持つかどうかも心配でしたが前日と変わらない鳴き声が聞こえたので一安心。
朝一で病院へ連れていくと「状態は悪いです」と。体も傷だらけ。
痩せ細って小さく子猫に見えたけど歯が1本も無く口内炎で口の中が真っ赤。高齢のおばあちゃんでした。
そして体からしっぽまでの毛が雑に刈られていたんです。毛が固まって刈られたのかもしれないと。年齢的にも飼われていた猫ちゃんの可能性が高いと言われ複雑な気持ちでした。どんな気持ちで飼い主さんとお別れしてしまったのか…

保護してから迷子猫情報を探しましたが、つむちゃんを探している方とは出会えませんでした。
全身のノミ、口内炎と脱水も酷い事からそのままつむちゃんは6日間入院。
前足の爪が伸び過ぎて肉球に突き刺さり化膿して強烈な悪臭。
ノミの駆除、脱水、難治性口内炎の治療も受けシャンプーをしてもらい退院。
身体中汚れていたのでお水は真っ黒でシャンプーの泡もなかなか立たなかったとか。
「この子を外に戻すか、家族として看取ってあげるのか」の選択を強いられ、看取るのは覚悟と家族の協力が必須だけど、家族みんなで協力し合おうという話になり、「つむぎ」と命名し、家族に迎える決断をしました。
痛々しい肉球は退院後も消毒を続けました。こんな足でアスファルトを歩くのはどれだけ痛かったか、考えるだけで胸が苦しくなります。

爪が突き刺さっていた肉球。穴が塞がることはありませんでした。

つむちゃんとの暮らしはゆったりのんびりして癒されるなーって思っていた矢先、体調不良から次々と病気が発覚。
腎不全、糖尿病、顎骨の腫瘍、関節のほとんどが変形して歩くのもヨタヨタ。トイレと食事以外はベッドの上で過ごしていました。
先住猫もまだ9ヶ月だったので我が家は猫を飼うのは初心者。おばあちゃん猫との暮らしは手探り状態。そんな日々の暮らしの中で試行錯誤しながら改善していきました。
滑りやすいフローリングにマットを敷いたり、トイレの砂をやめ、最終的には段差をなくしたり。
餌の器の高さ、顎骨腫瘍のため口の中の状態が悪く飲み水がすぐ汚れるのでこまめにお水の交換。
滑らないよう足裏の毛を刈ったり、ベッドもあれこれ試して寝心地の良いものにしてあげたり。
つむちゃんが我が家に来た当初、トイレはベッドから50cm程離して置いていたのですがこれが後々悔やまれることに。
つむちゃんがついに歩けなくなった時にトイレをベッドの隣に配置したのですが、それでは遅かった。

先住猫が近くに来ると話しかけるつむちゃん。みんなを楽しませてくれました。

最初に覚えたトイレの場所までフラフラしながらも必死に1歩1歩歩いていたんです。「そこでしていいんだよ」と声をかけても初めにトイレがあった場所まで歩こうとするんです。
高齢のつむちゃんを家族に迎えた以上、幸せな暮らしをさせてあげたいと思い、緩和ケアのために通院しながら家ではのんびり。
食べたい時に好きな物を食べさせてあげ、夜は大好きなパパの部屋への訪問が日課。
唯一元気だった大きな鳴き声も次第に出なくなり、歩くのも辛い中お隣のパパの部屋までは最期の日まで歩いていたつむちゃん。

女の子なのでピンクのリボンの首輪!似合ってる?

お別れが近づいてくると日に日に餌を受け付けなくなり水も飲めなくなる。
腎不全の影響でいつもお水をガブガブ飲んでいた子がついには自力でお水も飲めなくなってしまいました。
飲もうとするのに飲めないんです。

旅立つ前の晩、私の膝の上に乗ろうとゆっくりと近づいてきてくれたつむちゃん。段差は登れないから抱っこしてひざの上に乗せてあげました。
今までこんなに甘えてきた事は無かったのに…胸がいっぱいでした。

その翌朝、2020年10月20日大好きなパパの腕の中でお空へ旅立ちました。
どんな猫生を送ってきたのかは知ることが出来ないし、どんなお名前で呼ばれていたのかもわからないよ。色々教えて欲しいことばかり。
でも、最後我が家では「つむぎ」というお名前でつむちゃんと過ごせた日々は他の誰かでは作ることが出来ない大切な思い出。かけがえのない宝物です。
突如、家族となったつむちゃん。
シニア猫との関わりは初めてでしたが、つむちゃんからシニア猫の可愛さ、生活する上で注意すること、病気の事など、沢山の事を教えてもらいました。
つむちゃんに出逢えたことで、現在我が家で暮らしている猫2匹(1歳10ヶ月、0歳10ヶ月)への食事の事や、体調管理なども注意することが出来ています。

出会って2ヶ月と29日、家族になって2ヶ月と21日。そう思うと短いけどつむちゃんとの生活は濃い毎日でした。今もつむちゃんの事は毎日想っています。
大好きなつむちゃん、我が家唯一の女の子。
家族になってくれて本当にありがとう!

正式に家族になった日、嬉しそうなつむちゃん