シニアペットと暮らして

想う

ララちゃん・15歳
公募

著者/根布谷 朱那

それは、実家の母からの突然の知らせだった。
「ララが具合悪いみたい。」
5年ほど前に家を出た私は、一番大切ものを置いてきたから。だから、後悔の念に押し潰されそうになった。本当はもっと会いに行けたのに。疲れた、忙しいと、何かに理由をつけて中々会いに行かなかった。

変わり果てた愛猫の姿。真ん丸だった眼は細くつり上がり、痩せ細った骨をボサボサの毛が覆う。漂う臭いに私は覚悟を決めた。もう無理だ。「いつ亡くなってもおかしくありません。今この子は相当辛いと思います。」私たちは、通いなれた動物病院の医師からの淡々としたその言葉を受けた。
ついに最後のお別れだ。辛くない、辛くない。顔を真っ赤に染めた私は、必死に弱い心に決壊を張った。でも…。やっぱり無理だった。好きすぎて居なくなるなんて考えられない。あなたが総てだった。どうか居なくならないで。神に何度も祈った。でも、いつかはそうでなければいけない。初めからその約束であなたと家族になった、だって私は人間なのだから。あなたよりも長く生きなくてはなりません。そんな弱い私だから。だから、あなたは他の人よりも少し早い「お着替え」をしてくれたのかな。生きる術を、生きる強さを、意味をくれた。本当は自分が一番辛いはずなのに。

私の事を大切に想ってくれてありがとう。かけがえのない思い出。生きる意味。そして、その眼差し。私がいつかお婆ちゃんになって命を全うするその時、一番に思い出すのはあなたの事。豊かな人生をくれた。大切な時間を沢山、沢山くれた。あなたと過ごした日々は、何よりも誰よりも誇れる毎日でした。儚く消えてしまうこと。ただただ恐れることはもうやめよう。私はあなたと過ごした日々を誇りに想う。あなたと出逢い、そして愛し愛され、あなたを幸せにできたこと。誇りに想う。あなたはとても可愛くて、誰からも愛される存在でした。そんな中、運命は私たち家族を選び、そして親子を一つにしてくれました。残りの尊い時間をゆっくりと。確実に訪れるいつかを。今はもう、安らかに、穏やかに過ごしてもらうことだけを願っているんだ。だからもう大丈夫。笑顔で、ありがとうと伝えよう。大好きだよ。私の、私たちの大切な家族になってくれてありがとう。
2019年8月。現在ララは15歳。誕生日はもう迎えられないと思いましたが、懸命の闘病生活を続け、今なお必死に生きてくれています。並々ならぬ労力、そして金銭面で苦悩をしいたげられています。でも、それでも私たちはララを死なせるわけにはいきません。猫や犬を飼うということは容易なことではありません。
しかし、そのぶん、人生を豊かにしてくれる特別な存在にもなります。どうか、何があっても最後まで愛して下さい。そうすれば、必ず彼ら、彼女たちは私たちを心の底から愛してくれます。だってほら、その眼を見ればわかるでしょう。ちゃんと伝わっているよ、大好きな気持ち。どうかその命を幸せだったと思ってくれますよう。